ファッションの環境・社会負荷

自然派というイメージの綿さえも・・・

服がもたらす環境への影響は、原材料の調達から廃棄も含め、想像以上に深刻です。

例えば綿(コットン)を例に見てみましょう。綿は世界で生産される生地のうち、実に50%近くを占めています。一般的に「自然派」というイメージがあり、環境に優しい素材と受け止められています。しかし現実は、どうでしょうか。綿栽培のために耕されている農地は世界の2.5%ですが、使用されている殺虫剤は世界の25%、除草剤は10%にあたります。それに加えて綿栽培に関わる人たちや健康も懸念されています。

さらに綿を服に仕立て上げる各工程で、多くの化学物質が使われます。シリコン製ワックス、石油製の研磨剤、柔軟剤、重金属、抑制剤、アンモニアなど挙げたらきりがありません。その全てが大気に、土に、土壌に悪影響を与えかねないのです。

ほかにも最近使われるようになったエラスタンやライクラといった弾力性のある素材は公害をもたらす可能性があったり、ナイロンも完全に自然に還るまでには30〜40年かかると言われていたり、洗濯や乾燥の段階で大量のCO2を排出していたりと、ファッションにまつわる環境・社会被害は予想をはるかに超えているのが現状です。

参考:グリーンTVのドキュメンタリー参照 「消えたアラル海」

ファスト・ファッションの裏/途上国の労働環境

あなたが着ている服のタグを見てみて下さい。Made in Chinaのほかにも、バングラデシュ、ベトナム、トルコ、ルーマニアなどの国々の名前が見られ、西欧と北米以外の地域で集中的に製造されているのが分かるはずです。それらの国々で製作に携わる労働者は、健康や安全に関して芳しくない環境で働かされている場合があります。そのうち90%は女性で、劣悪な環境の工場で働いたり、自宅の暗がりできつい仕事をこなさなければならなかったりする場合もあることが指摘されています。また多くの女性は10代で、中には児童もいます。賃金は安く、労働時間が長いところも多いのです。

これらの問題に対して、多くの消費者が認識を深めるようになり、労働者も自らの権利を守るために行動を始めています。その結果、アパレル産業の最下層で働く人たちの安全と健康基準は改善されつつあるものの、まだ抜本的な改善には至っていません。

遅れているファッションのリサイクル事情

日本でもリサイクルの意識が高まり、古着を資源ごみとして回収等を行なっている地域も増えてきました。しかし、回収された古着のうちリユース・リサイクルされるのは約10%、残りの約90%はゴミとして焼却処分されるか埋め立て地に持って行かれます。古着のほとんどがリサイクルできるものですが、現状ではそのまま捨てられているのです。また、リサイクル可能な古着のうち、ほとんどが海外へ輸出され、国内で実際にリユース・リサイクルされるのはほんのわずかです。
古着も大切な資源の1つです。着なくなったその洋服の行き先をちょっと考えてみませんか?

参照:コラボレーター団体「国内循環古着プロジェクト」
参照:国内を循環する古着を着る、そしてライフシフトへ

ファッションからエコロジーを考える

統計では、日本人は年間10kgの服を買い、そのうち9kg捨てているといわれています。(参考※経済産業省 3R政策 2005)また、衣類の約95%以上を中国などからの輸入に頼っています。その輸送過程でたくさんのCO2を排出しているのです。(参考※経済産業省「繊維・生活用品統計」2008)

オーガニックコットン、オーガニックウール、竹や麻など耐寒性があり成長が早い植物は、殺虫剤や化学肥料を最小限にとどめて栽培されています。フェアトレード・ブランドや各企業のCSR、オーガニック素材の認証制度などの動きも活発化してきました。

服を着ない人はいない。だからみんなで服からエコを考えよう!とxChangeでは呼びかけています。